但馬水産技術センター職員さんによるカニの話。今まで一般住民が話を伺う機会はありませんでした。ジオパークによるサイエンスカフェ「ジオカフェ」として企画することによって、行政(香美町観光商工課)が段取りしてくれました。感謝です!!
おはようございます!民宿美味し宿かどやのガクです!!
さて、今回最も気になるお話をさせていただきますね。
カニの水揚げは年々減っています。
紅ズワイガニはまだ横這いですが、ズワイガニ(松葉ガニ)は平成16年1712トンが平成22年に1394トンと約2割減、直近の平成30年度は1000トンと更に30%弱減っています。
更には心配なニュースも・・・
神戸新聞NEXT|総合|ズワイガニ、3年後に半減か 日本海の稚ガニ急減
そこで、紅ズワイガニのようにメスがに(松葉ガニの場合はセコガニ)を禁漁にすべきではないか、という発想になります。
実際、セコガニを禁漁にすれば、松葉ガニは増えるのか。ここ、特に知りたい部分でした。
結論からいうと、
セコガニを禁漁にしても松葉ガニの水揚げ量は増えません!!
なぜか?先の新聞記事にもちらっと書いてあります。
雌が産む卵の数には大きな変化がなく、何らかの理由で稚ガニが生き残れなくなっている
卵の数ではなく、稚ガニの越年量が減っていることが原因なのです。
一般的にセコガニは11回、オスガニは12、13回脱皮を繰り返すそうです。どんなに卵が多く、初年度の稚ガニ(というよりも最初の数年はプランクトンレベル)が多くても、例えば、2、3年目のプランクトンが大量に減る環境が生じてしまうと、成体の数は増えないのです。今の問題はまさにそんな感じ。
実は、水産関係の専門用語で「卓越年級群」という言葉があります。
卓越年級群
稚魚期の減耗が少なかったためなど,何らかの要因で,ある資源生物の加入量が極端に多い年級群のことで,この年級群は漁獲物の年齢組成において極端に高い頻度を示すことで知られる。当該年級の若齢魚の保護,産卵親魚の確保等の資源管理により,経済的な有効利用が可能である。
水産試験場では、この卓越年級群を魚種ごとに調査しているため、水産資源の未来予想ができるのです。
極端に多いではなく、極端に少ない年がある。
話を元に戻すと、セコガニが禁漁になってどんなに増え、卵から産まれるプランクトンが大量に発生しても、その外敵となる環境が多ければ意味がないということ。
つまり、現時点ではセコガニを禁漁にしても漁継続にしても、大きな影響はないと考えられています。もちろん、だからといって乱獲はダメでしょうが。
というわけで結論をいうと、今の11、12月の2ヶ月間に漁期を限定するのであれば、完全禁漁にする必要はない、とのことです。
セコガニファンの皆さん。良かったですね(笑)。
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