なぜ、但馬牛は世界農業遺産に認定されたのか?
おはようございます!民宿美味し宿かどやのガクです!!
昨日、小代物産館を訪れたお話をさせていただきました。
今回、小代物産館を訪れたのは、勉強会に参加するため。今年7月に但馬牛が世界農業遺産となりましたが、自分の中でまだまだ世界農業遺産については勉強不足。また、なぜ、但馬牛が認定されたのかを自分の言葉で話せるようになりたかったからです。
世界農業遺産とは?
そもそも、世界農業遺産とはなんでしょうか。農林水産省の公式サイト内で解説されています。
世界農業遺産とは
世界農業遺産(GIAHS)とは、社会や環境に適応しながら何世代にもわたり継承されてきた独自性のある伝統的な農林水産業と、それに密接に関わって育まれた文化、ランドスケープ及びシースケープ、農業生物多様性などが相互に関連して一体となった、世界的に重要な伝統的農林水産業を営む地域(農林水産業システム)であり、国際連合食糧農業機関(FAO)により認定されます。
簡単に説明すると、社会的かつ環境的に評価された仕組みを持つ地域が認定されるといった感じです。
例えば、同じ近畿内ですと「みなべ・田辺の梅」と「琵琶湖」も世界農業遺産に認定されていますが、
「みなべ・田辺の梅」が認定されたというよりも「みなべ・田辺の梅システム」が認定された
「琵琶湖」が認定されたというよりも「琵琶湖システム」が認定された
といった形になります。
「但馬牛」はなぜ、世界農業遺産に認定されたの?
日本では、2023年7月に但馬牛を含め2ヶ所が世界農業遺産に認定されました。2023年現在、国内には15ヶ所の世界農業遺産があります。全て地域が作り上げてきたシステムに対してですので、長い名称がついています。
・Noto’s Satoyama and Satoumi(能登の里山里海):2011年登録
・Sado’s satoyama in harmony with Japanese crested ibis(トキと共生する佐渡の里山):2011年登録
・Managing Aso Grasslands for Sustainable Agriculture(阿蘇草原の持続的農業):2013年登録
・Traditional tea-grass integrated system in Shizuoka(静岡の伝統的な茶草場農法):2013年登録
・Kunisaki Peninsula Usa Integrated Forestry, Agriculture and Fisheries System(国東半島・宇佐の農林水産循環システム):2013年登録
・The Ayu of Nagara River System(清流長良川の鮎〜里川における人と鮎のつながり):2015年登録
・Minabe-Tanabe Ume System(みなべ・田辺の梅栽培):2015年登録
・Takachihogo-Shiibayama Mountainous Agriculture and Forestry System(高千穂郷・椎葉山の山間地農林業):2015年登録
・Osaki Kôdo’s Traditional Water Management System for Sustainable Paddy Agriculture(大崎耕土の巧みな水管理による水田農業システム):2017年登録
・Traditional wasabi cultivation in Shizuoka(静岡水わさびの伝統栽培):2018年登録
・Nishi-awa steep slope land agriculture system(にし阿波の傾斜地農耕システム):2018年登録
・Biwa lake to land integrated system(琵琶湖システム):2022年登録
・Fruit Cultivation System in Kyoutou Region, Yamanashi, Japan(山梨県峡東地域の果実栽培システム):2022年登録
・Leaf compost farming method, Musashino, Saitama(埼玉県武蔵野(三富新田)の落ち葉堆肥農法):2023年登録
・Tajima Beef Cattle, Mikata, Hyōgo(兵庫県美方地方の但馬牛(神戸ビーフ)システム):2023年登録
「但馬牛」の世界農業遺産認定の際の日本語における正式名称は
「人と牛が共生する美方地域の伝統的但馬牛飼育システム」
です。
では、何が「伝統的飼育システム」なのでしょうか。以下のボードがひと目でわかりやすいです。
大きく述べると3つ。
・人と牛が育んだ風土
・生態系・ランドスケープの保全
・郡内にこだわった育種改良
です。
但馬牛は今のように肉業として育てられた歴史はまだ浅いです。どちらかというと明治時代まで、農耕牛として、農家には1頭ずつ牛がいました。働き手の一人(一頭?)であり、大切な家族として扱われました。但馬牛は他の和牛と比べ小型なのですが、それが土地の狭い但馬地方の田んぼには適していたとのことです。放牧により雑草を食べてくれる。田んぼでの働き手にもなる。人と共生する生き物でした。冬は男手の出稼ぎでしか稼げなかった時代、お産も含め、牛の世話は全て女性が行いました。人と牛の共生の歴史がありましたし、それが生態系の一部となり、地域のランドスケープとなっていました。
そんな中で、世界農業遺産の認定において最もポイントになったのは「郡内にこだわった育種改良」ということになるのですが、先人の方々は、良い牛同士を掛け合わせると、より良い牛が生まれることを経験則として認識していました。そのため、きちんと牛籍簿(牛の戸籍簿)を作り、明治30年頃(1897)から既に血統を管理してきました。これは、メンデルの遺伝の法則(1900年以降に確立)が世に知られる以前のことでした。今でも兵庫県において他の地域の牛が交わらないよう徹底管理していますし、どの種付牛(雄)と雌牛を掛け合わせると良い牛が生まれるかも科学的に判断できるように管理しています。食肉牛としてのニーズが一般的となり、多頭飼育となった今でも、最善の育種改良が行われている。この優れたシステムで美味しい黒毛和牛を育て上げていることが、世界農業遺産として評価されました。
血統を守ってきたこれまでの歴史が、但馬牛を素牛とした神戸ビーフや松阪ビーフをも育んでくれた、と言えます。
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