当館のコロナ対策の基準としている考え方について

ご挨拶・ご報告

おはようございます。民宿かどやのガクです。

昨日と今日は休館日ということで、ちょっと長めのブログを書かせて頂きます。

6月に2組様で、7、8月は3組様で営業を再開していくに至った当館の(というよりもガク一個人の)見解について今日はお話しさせていただいています。

闇雲にコロナを怖がるのではなく、正しく怖がり、安心安全な新しい旅のスタイルを、という考え方でやっています。

基準となる安全指標として持っている数字

コロナ禍において私が違和感を持っていること。それは、安全と危険の閾値が人によって違いすぎる。いえ、むしろ安全なレベルに対しても怖がっている人が圧倒的に多い、と感じたことです。

大切なのは自分の中でのここからが危険、ここまでは安全、という基準を持つことと4月末の時点で感じました。

そこで、4月以降営業を再開するにあたり、危険水域、安全水域の指標とする数字として以下を参考にさせて頂きました。

参考としているのは藻谷浩介先生のデータ資料


ダイヤモンド・プリンセス号内での感染データ

このデータは5月7日に藻谷浩介先生のZoomセミナーを聴講した際に見せていただいたものです。出所を明らかにすれば掲載可能ということで転載させて頂きます。

以下のオンラインセミナーでのスライドです
↓↓↓

2020年5月7日にあったセミナーです

藻谷浩介先生は、「デフレの正体」や「里山資本主義」等の著作で有名ですが、これまでの著書の中でも、数字での分析をもとに、感情論的な空気に流されず、「正しい判断」の仕方を終始啓蒙されてきました。今回のコロナの感染データにおいても同様です。

まずは最悪のケースでの感染リスクを知っておくこと

私は医学的なことはわかりませんが、統計学の説明ならば、理解はできます。おそらく小中学校の算数、数学を学んできた方ならば、同様だと思います。

藻谷先生は「最悪のケース」としてダイヤモンド・プリンセス号内での感染データを紹介されました。なぜ、この船が「最悪のケース」なのか。

この時期はまだコロナの恐怖がよくわかっていない時期でもありました。「衛生」とか「3密」とか言われていない時期です。今はこれらの言葉が登場している分、春よりも対策が進化していると言えます。

先ほどのスライドにも書いてありますが、「最悪のケース」とは、

換気不十分で濃厚接触者の多い環境に多くの高齢カップルがいた

という状況を指します。

コロナの危険性が周知された今の状況で、この環境はあり得ないはずです。

では、この最悪のケースでどれほどのリスクがあったか。

乗客・船員3711名のうち感染者は712名(感染率全体の19%)

感染者のうち発症者は378名(全体の10%、感染者の53%)

死亡者は13名(全体の0.3%、感染者の1.8%)

これが多いか少ないかはここでは問いません。私は、これを「最悪のケース」、何も対策しなかった時の状況と判断しました。

自分の宿業に置き換えて、何も対策をしなければ、

2割の人が感染し、1割の人が発症し、0.3%の方が亡くなる

という基準を設けました。ここから感染率、死亡率を限りなくゼロに持っていくには、と考えたわけです。

最悪のケースから安全マージンを高めていく

現在の「感染者」の定義は「PCR検査で陽性反応の出た人」です。感染していなくても、近くに新型コロナウイルス、もしくはPCR検査で陽性反応と出てしまうウイルスに曝露した人は感染していなくても陽性反応が出てしまいます。

この定義でいうと、感染者(厳密にはPCR検査をすれば陽性反応の出る人)をシャットアウトするのは不可能です。たくさん人がいる場所にいれば、それだけ曝露する可能性は高くなる。見ず知らずに人とツバの飛びあう距離感で会話すればリスクが高まる。逆を言えば、たくさん人のいる状態を作らない。距離を取る。更には換気・衛生管理を徹底する、で2割の人が感染する最悪のケースを限りなくゼロにできるのではないかと考えたのです。

当館の安全対策

先述した通り、最悪のケース、状況でも2割の人しか感染しない、8割は大丈夫という考え方もあります。実態が全くわからなかった春とは違い、今は「ソーシャルディスタンスをとれば、3密を回避すれば大丈夫」ということがわかってきています。


ソーシャルディスタンス、三密回避が重要

衛生面での徹底

まず、衛生面での注意事項として小まめにな除菌とスタッフのうがい手洗いを行うようにしました。いろいろ調べていくうちにわかったことですが、コロナ対策はアルコール除菌でOKです。しかし私たち宿泊・飲食業はノロウイルス対策の関係で次亜塩素酸という更に除菌力の高い消毒・除菌を行なっています。お客様が入れ替わるわけですから、毎日の清掃もこれまでも既に徹底していました。職業柄「衛生面で不安」とはならない。むしろ、一般家庭より宿泊施設の客室や食堂の方が衛生面では安全なのではないか。調べれば調べるほどそんな自負を持てるようになりました。裏を返せば、日本の保健所の定めたルールはとても厳しく、それを守っている宿や飲食店ならば安心安全なのです。

3密回避

ノロウイルスや大腸菌、レジオネラ菌など普段宿泊施設が気をつけている衛生対策と、新型コロナウイルスが異なる点。

これは、インフルエンザや風邪同様の感染に気をつけなければならないことです。具体的には、他人との接触を極力減らす。春にはあまり言われませんでしたが、今強く言われている「ソーシャルディスタンス」「三密回避」がこれに当たります。個室で食事を行う、お風呂は極力別々のお客様が被らないように利用していただく。私たちもお客様とお話しする時はマスク必須。マスクをどちらかがしていない場合は、1m以上は離れて。

客室への換気の徹底、プラズマクラスター空気清浄機の導入も行いました。

その距離感を掴むために、6月のスタート時は2組限定で。7月に3組。8月に4組で考えていましたが、感染の拡大、移動の自粛報道もあり、8月も3組様に限定しました。

この少しずつお客様の組数を増やしていくことで、当館がどこまでならばできるか、できないか、の感覚を掴むことができたと思います。具体的には示しづらいのですが、「コロナ対策しているな」と、お客様に実感していただける可視化された対応に対する手応えです。

お盆休みでも

3組しかお客様をお受けしなかった

というのは、徹底できたと思います。


様々なコロナ対策

消毒・検温の徹底

実はGoToトラベルキャンペーンに参画する条件として、チェックイン時のアルコール消毒と検温が義務付けられていました。


消毒・検温の徹底

実はこれを行っているということが決まっているからでしょうか。例えば、体調の悪いお客様からは事前に相談のお電話がかかってきます。前日までのご相談ならば、キャンセル、日程変更も柔軟に対応できます(流石に当日は厳しいですが)。

何よりも、当日、アルコール消毒や検温があることで「他のお客様も全てこれをクリアされている」という安心感がありますし、「3密、ソーシャルディスタンスに注意しよう」というお客様の意識を強く持っていただいけているように感じます。

以上を行うことで、何もしなければ20%の感染率が限りなくゼロに近づくのではないかと私は考えています。比例して、発症者、重篤者、死者の確率もどんどん少なくなっていきます。

何れにせよ、以上に書いた複数の安全対策を施すことで、安心して泊まりに来ていただける環境を作り出すことが、コロナ禍での宿泊施設の役割であると考えています。

今のコロナ禍は、本当に危険な状態なのか?

コロナは本当に危険なウイルスなのか。私に判断することはできません。ただ、先述したように、正しい数字で判断することはできます。

私が以前読んだ本の中で参考にしているが「統計学が最強の学問である」です。

前半にコレラ菌が見つかる30年前のロンドンでのコレラ対策のお話が掲載されています。

要約はこちらから読めます↓↓↓
https://oukoraikon.com/nishiuchikei-statistics/

「科学的根拠に基づく医療」ではっきりわからない場合は、統計データで判断する。このシンプルな考え方を今回のコロナに当てはめた場合、正しく怖がれば、特別に恐れるものではないということがわかってきました。その指標、最悪の時のデータとして私が頭にイメージしたのがダイヤモンド・プリンス号のデータでした。インフルエンザでも、同じように流行している時は人が密集するような会議や講演会へ行くのは避けますし、うがい手洗いを励行します。正直、データを見れば見るほどSTAY HOMEは行き過ぎ、やり過ぎ感を個人的には感じました。それよりも、安心安全に移動、行動する方法を考えた方が良いのでは?という判断に私は行き着きました。

5月の時点での予想死者数千人はほぼ当たっている

ちなみに私が基準としている藻谷先生のデータは日本の死者数は最終的に千人ぐらいではないか、と5月の時点で言われていました。


令和2年8月13日現在1093人

ほぼ当たっているんじゃないかと思います。

日本の場合、大都市圏の異常なほどの人口過密に問題があるとのことでした。確かに、旅行や移動云々よりも、都市部の人口過密の方がコロナ的にはヤバいんじゃないか、ただ、そんな中で半年で死者千人程度のウイルスであれば、ここまで経済に影響を与えるほどの「自粛」をするのはやりすぎではないかという思いもあります。

「自粛」と「緩和」、自粛のタイミング

今、陽性者が爆発的に増え、「自粛」が求められています。今後、新型コロナウイルスがこの世の中から突然なくなったりはしないでしょう。星野リゾートの星野社長は、コロナ禍は1年半は続く。その間で「自粛」と「緩和」を繰り返すだろう、と言われていました。

日経ビジネス ☆星野リゾート、耐え抜くための「1年半計画」に踏み出す☆を読んで。

私もこの意見に賛成です。といいますか既に

・ゴールデンウイークを前にして緊急事態宣言→ゴールデンウイーク後感染者は増えず

・夏休み前を前にして感染爆発(但し、死者は増えず)→8月末に死者は増えるか否か

という「自粛」→「緩和」→「自粛」の波が起こっています。

9月から「緩和」になるのか、9月下旬の4連休後に「緩和」になるのかわかりませんが、11月末か、12月初め頃から年末年始にめがけて、意図的に「自粛」に誘導するような空気をまた作り出すような気がしています。

つまり、人の移動が激しい時、大型連休のある時に「自粛」を呼びかける周期が今後も続いていくと思った方が良いと私は考えています。

旅行で感染は増えるのか?

最後に大切なお話。移動や旅行で感染者は増えるのか。私はあまり、関係ないんじゃないかなって思っています。むしろ、警戒している人はかからないし、警戒していない人はかかりやすい。先にも述べましたように人口過密である都会の方が単純にリスクは高い。移動や旅行でも、たくさんの人が移動する時期に、たくさんの人が集まる場所へ行けば、リスクは高くなります。

ゴールデンウイークとお盆休みと年末年始に集中して人が移動する。

平日よりも週末に集中して人が移動する。

このことが大切なのではないでしょうか。


佐津海水浴場も平日と休日の人の差が
5倍以上ありました

安全運転を心がけて交通事故を防ぐように、人が混雑する時期を外して旅行や移動する。どうしても混雑期しか旅行ができない方は、三密対策をしっかり取っている宿を選ぶ。むしろ、宿泊施設の方が衛生面では安心安全です。

当館としても、今後ウィズコロナの時代に対応し、繁忙期でも安心してご宿泊いただけるように、どんどん安全対策を実行していきます。引き続きよろしくお願いします。

 

住/佐津/柴山 民宿美味し宿かどや
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