旅館の朝食時間ってなんでスタートが決まっているところが多いの?

グルメ食材

今朝は早起きして特急はまかぜに乗る妻を竹野駅まで送迎。みぞれが降っていました。


ローソン竹野店前の道。うっすらと白く。

本格的な雪に変わるのは明日か明後日でしょうか。

おはようございます!民宿美味し宿かどやのガクです。

さて、今日は旅館の朝食のお話について。

当館の朝食は8時からとなっております。

早目にスタートされたい場合、前日午後8時ぐらいまでにお申し出頂けましたら7時半からのスタートも可能です。釣りやゴルフ、スキーのためにもっと早い出発をご希望の場合、簡単なお弁当対応もできます。


かどやの朝食(一例です)

朝食の最終は9時まで。8時?9時の間、ということになりますが、スタートは原則8時。これがなぜ8時半とかではダメなのか。

そもそも旅館はなぜ、朝食の時間を前もって決めないといけないの?

旅先で朝食は何時、と前日に決められるよりも朝起きてから「◯時に朝食に行こう」ってする方が休みらしくていいなって私も思います。ホテルならばそれが可能ですよね?なんで旅館はそれができないんだろう。色々考えてみると、旅館のシステム上それがとても難しいことに気づきました。

旅館の朝食が決められた時間になってしまう理由

まず最初に申し上げておくことは、私が思いついた理由のほとんどが旅館側都合であるということ。お客様の「朝食の時間ぐらい自由にさせて欲しい」というニーズに全く応えていません。

結論から言うと、旅館の昔ながらの業務内容を継続させようとすると、朝食時間をフレキシブルにさせようとするのはとても難しい。可能にしようとするとものすごい人件費がかかってしまうことになります。順にその理由を書いていってみますね。

(1)旅館の朝食は出来上がりと同時に出す料理が多いから

まず、お客様が席に着いてから熱々をお出ししたい。できたてをお出ししたい、となった場合、一番美味しく出来上がる時間をスタート時間にしているからです。例えば、ご飯の炊き上がりも食事のスタート10分前ぐらいに。お味噌汁もそれに合わせて。ビュッフェ形式のホテルに近い大型旅館は別として、通常の旅館、あるいは民宿ですと、料理の出来上がりにあまり時間差を設けられません。加温器などで温めっぱなしでないのが旅館の美味しい朝ごはんの魅力だったりもします。


湯気が立っている炊き込みご飯、嬉しいですよね♪

そもそも、保温器とかを用意するとなると、その分のコストが必要になります。何人分用意するか、というのにもよりますが、お母さんが出来たての朝ごはんを一人一人に作って出す、といった旅館式のスタイルで対応できるレベルであれば、余計なコストをかけずに朝ごはんの時間を決めてしまっているのだと思います。

「朝ごはんできたわよ~」

と作り手の時間の都合に合わせるか、前もって食事の時間を決めておくのが日本の朝食の現時点での常識、スタンダードなのかなと思います。

(2)旅館特有の業務「布団上げ」

ホテルと旅館の違い。洋室と和室の違い、と言っても良いかもしれません。ベッドかお布団か。ベッドならば、片付ける必要がありませんが、お布団の場合はお客様が朝食中に片付けさせていただく行為が入ります。


布団の出し入れは旅館特有

例えば1室のお客様で1名だけチェックアウトギリギリまで寝ていたい、という方がいらっしゃった場合、これ、旅館の場合とても困ります。朝食は不要、ということであればそれで良いのですが、食事をされている他の方の分の布団をどうするか。寝てらっしゃる方の横でバタバタか続けるわけもいかず。。

最近ではお布団も引きっぱなしにできるよう2部屋1室の間取りの高級旅館とかもありますね。いわゆる昔ながらの日本旅館だとお布団上げのルーティンが入っており、朝食と布団上げがセットになっています。それが時間のずれの許容範囲を狭めている。私の分析ではこれが原因となっている気がします。

(3)小規模旅館や民宿になると業務が兼業になる

ホテルに比べ、旅館はスタッフによる業務の兼業が多いです。特に10室以下の当館のような民宿クラスになると料理も布団上げも掃除も布団と会計も電話受けも皆、家族+α、誰かが随時行っている、というケースが多いです。

ホテルのように料理、清掃、フロントと分業制になっていない。なので、この時間からこの時間はこれをする、と決まって動いているわけですが、朝食でも布団上げでも、あるいはチェックアウト後の業務でも、何かがずれると全体の業務がグダグダになってきてしまうことがあります。

これ、実は小さな宿ほどありがちで、弱点ともいえます。他のスタッフがフォローするほどの”人手”が足りていないからです。

グローバル化によって今後変わってくるかも・・・

外国人観光客が日本の旅館に対して不満でよく言われるのは朝食や夕食の時間を事前に決められているということだそうです。宿泊と食事は別、いわゆる泊食分離がスタンダードな日本以外の国の人たちにとっては日本の方が非常識なんですよね。

今後、近年の外国人観光客の増加でこの部分がフレキシブルになって来ると予想しています。ただし、現時点で多くの宿で対応しているのがビッフェ形式による対応。あるいは朝食のみで3千円~5千円ぐらいの料金設定にして朝からコース料理、高級な朝食としてしまう方法。現状のクオリティの朝食をいつでも好きな時間に、とするのは現在の旅館スタイル(マンパワーと価格設定)ではなかなか難しそうです。


かどやはどうするの?

現状は、今のまま。朝食は8時。この時間にお召し上がりいただくのが一番美味しく”日本の朝ごはん”をお召し上がりいただけるスタイルです。あとは応相談ですが、やっぱり事前に時間をお知らせいただく形になるかなぁ・・・

お布団上げはお客様がチェックアウト後で朝食時も引きっぱなし。ある程度時間の幅を設けて「好きな時間から朝食を始めて下さい」とするには、現時点でたくさんのリピーターさんを抱えている当館では変えづらいです。新規の宿を立ち上げるとか、今全く常連さんがない宿であれば考えますけど・・・。

当面は日本のスタンダードでということでいきます。

この話、Web上で色々探してみましたが、どこにも書かれていなかったので、思い切って書いてみました。

私たちの世代だと当たり前のことですが、最近の若い方だと

「何で旅館って朝ごはんの時間を前もって決めないといけないんだろう?」

って思われている方、いらっしゃるかもしれません。

朝ごはんの時間を束縛されたくない方は、ホテル、あるいはビュッフェ形式の朝食スタイルの大型旅館をチョイスされるのがいいんじゃないかな、と思います。あるいは、旅館の場合「朝食なしで」を選択する方法もあるかもしれません。ホテルと旅館、それぞれの利点と欠点を理解した上でうまく選ぶのがおススメです。

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TODAY’S PHOTO
かどやの布団は羽毛布団です♪

今の時期は二枚掛けなので
「エアコンを消しても暖かい」
とよく言われます♪

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香住/佐津/柴山 民宿美味し宿かどや
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